脱毛器ケノンの怪しさと実力

ケノン。聞いたことはあるだろうか。家庭用脱毛器、ケノンだ。

めちゃくちゃ怪しい宣伝しか打たないケノンだ。公式サイトは原色ギラギラ絶賛口コミズラリでバチクソ怪しいし、ケノンでサーチすると出てくる光脱毛器比較サイトは妙なくらいケノンを持ち上げてさらには購入リンクまで貼ってるステマぶりで本当に怪しい。ツイッターでパブサかけてもステマやら妙なアフィ垢ばっかり引っかかってろくに口コミが得られない。

あ、怪しい……。

そんなケノンを買ったことがある。けっこう値段の張る代物だ。今思うとなんで買ったんだろうか。まあムダ毛に悩んでいたからなのだが。

私はスッゲエ毛深い人間である。父親の遺伝とステロイド常用が合わさり最強に見えるやつである。さらには皮膚が弱い為にカミソリを当てる許可は幼い頃は得られず、なのにプールに通わされてたのでスゲー毛深さを周囲に晒し、フツーにいじめられてた。地獄か？

その後高校ごろになってアトピーもひとまず落ち着き、ようやく医師から剃刀を当てる許可を得た。そして高校を卒業するあたりになって、バイトも初めお金を貯め、ついに脱毛について調べ始めたのだが……。

ご存知の通り、店でやる脱毛は、高い。バイトを始めたばかりの学生が手を出せる値段では、まあ基本的にはないだろう。よほどバイタリティがあって掛け持ちでもするのなら別だろうが、私は普通に体力がないのでそういうこともできなかった。親に相談するのも憚られる。

対して7万円ほどでできるというのが、そう、ケノンだ。高校生の割に特に遊ばず貯金だけはあった私は、何十万円は無理でも、7万円くらいなら用意する余力があった。なにより、毛と戦うためだ。そのくらいの痛手は覚悟せねばならない。

尚ケノンはアトピー性皮膚炎の患者の使用を禁じていることを記しておく。これは私が自己責任で行った、それこそセルフ人体実験だ。いやだってこの世にアトピー患者禁止のコンテンツ多すぎてまともに従ってたらしたいことできないんじゃよマジで。向こうからしても何かトラブった時に「でも禁止って書いたよね？」っていうための文言だと思うし。ガチの禁止だったら申し訳ない。

さて果たして、効果はあった。一回目、恐る恐るケノンを当てて翌日。光脱毛機は一旦毛を剃ってから翌日生えてきた毛に光を当てるのだが、そのブツブツとした毛が抜け、ツルツルになった。もちろんそれは一時的なものでまた毛が生えてくるのだが、何回か繰り返すごとに、違いが現れてくる。剃刀を当てた翌日から生えてくるはずの毛が生えてこない。全体的に薄くなり、うまく当たったらしい場所からは生えてすらいない。自己処理が圧倒的に楽になる。ケノンの実力は本物であった。

だが私はケノンをしなくなった。

蕁麻疹でぶっ倒れたためである。一応言っておくとケノンとの相関はない。私は毎年年末になると高確率で蕁麻疹で倒れるのだ。当然肌に剃刀を当てるどころではなくなるので、ケノンの習慣も立ち消えた。

その後色々あり、3年ほどが過ぎ、肌の調子も決して良くないため、剃刀を当てる習慣は消えた。長袖長ズボンで過ごすことにして、腕毛と脛毛はボーボーになった。ケノンのことは、最近まで私の頭から消えていた。

突然思い出したのは、流石に暑すぎるし、働き始めたし、熱中症にもなったし……と半袖になることを決めたからだ。久々に肌に剃刀を当て、剃って、久々に見る白い肌に感動しつつ、数日過ごす。そしてあることに気がつく。

生えてこないのである。前までのように、翌日に生えてくるはずのブツブツの毛がない。全体的に薄い。伸びるのが遅い。数日で元に戻ったりしない。

ケノンの効果は、生きていた。ケノンの実力は本物だった。

近日中にまた肌の調子を整えて、ケノンを再開するつもりだ。

最後にケノンの難点を挙げておく。まず、強制力がない。習慣が立ち消えたのは、単純に私が面倒くさがりであることも関係あると思う。店でやる脱毛であれば、予約を入れるし、予約という縛りがあれば動けたはずだ。だがケノンは自分で剃って自分で当てなければならない。私のような面倒くさがりには向かない。

さらに、背中は言わずもがなだが、腕も脚も満遍なく剃刀を当てケノンを当てるというのはかなり面倒で時間がかかる。そして難しい。腕ひとつとっても自分で満遍なく剃って当てるのは至難の技で、真面目に当てているにも関わらず、私の腕には明らかにケノンの当てが甘いゾーンが存在する。見た目でわかる。

それらを解消できるような、例えば剃りを任せられる家族などがいればケノンは脱毛の選択としてアリ……かもしれない。

追記:これポイントは「店の脱毛は40万かけても自己処理が楽になるレベルであり、永久脱毛にはさらに20万かかる（店によるが）（40万だったかもしれん）」ところです　7万で少なくとも自己処理楽になるレベルまで行けるわけよ